木の枝を切る、ロープを切る、料理の包丁として…、アウトドアナイフはキャンプに欠かすことの出来ない大切なギアのひとつです。
適当なナイフでもアウトドアができないということはありませんが、ナイフの性質と適した用途を知っておくと、もっとキャンプが楽しく快適になりますよ。
きちんとお手入れをしながら使用すれば、自分の手に馴染んでどんどん使いやすくなり、長年に渡って愛用することも可能です。
そこで今回はアウトドアナイフの種類や特徴、選び方のポイントをご紹介します。
アウトドアナイフの用途ってなに?
キャンプではアウトドアナイフが必ずと言っていいほど必要になるものなので、最低でも1本は用意しておくべきです。
アウトドアナイフはキャンプのどういった場面や用途で使用されるのでしょうか?
ブッシュクラフト用

自然のある材料を自分で工夫しながら生活に活かす「ブッシュクラフト」を楽しむ際にもアウトドアナイフが必須です。
木を削ってフェザースティックを作る、爪楊枝やお箸も木とナイフがあれば自分で作ることができます。
細かな作業に便利
他にも、ロープを切る、薪を割る、缶切り、栓抜き、ドライバー…専用の道具がなければ出来ないこともアウトドアナイフやマルチツールがあれば事足ります。
ポケットやかばんに入れておいて必要なときにサッと出せるのもアウトドアナイフの便利なところです。
調理に使用する

キャンプ調理で食材を切る際にアウトドアナイフが必要になります。家庭用の包丁を持っていくという手もありますが、大きい上に専用のカバーが無い場合が多いので、持ち運び時にケガや歯こぼれの心配があります。
小ぶりのでも調理用のナイフがひとつあれば便利です。食材がはいっているパッケージを開ける際にも、ナイフがあれば簡単に開封できます。
アウトドアナイフの種類
アウトドアナイフは形状によって、大きく3種類に分けられます。
- シースナイフ
- フォールディングナイフ
- マルチツールナイフ
それぞれの特徴と適した用途を解説します。
シースナイフ
シースナイフの「シース」は、「鞘(さや)」という意味です。ナイフ本体にシースが付属されており、使用時以外はナイフをシースに収納して持ち運びます。
ブレード(刃)とグリップ(握り部分)がタングという部分で直線的に固定されており、ヒルトと呼ばれる部分で指をガードします。
ナイフの基本形とも言える形状をしているのがシースナイフ。形状や材質によって差はありますが、他のナイフの種類に比べると耐久性が高いため、ブッシュクラフトや薪割といったハードな使用方法に向いているナイフです。
ナイフの基本的な使い方を学びたいという初心者にもっともおすすめしたい形状でもあります。
フォールディングナイフ
フォールディングナイフは、ブレード(刃)を折りたたみ、ハンドル内部に収納できる構造になっているナイフです。
ブレードは収納性を高めるために薄く短く小ぶりになっているものが多く、グリップピンと呼ばれる部分でブレードとグリップを繫げています。
使用時の力で勝手に折りたたまないようにロック機能がついています。
安全性が高くコンパクトで持ち運びやすく、取り出しやすいため、キャンプだけでなく、登山やハイキングや釣りなどあらゆるレジャーで使用されています。
デザインが優れたものが多いのもフォールディングナイフの特徴。
耐久性が高いものであれば、料理や木工細工程度のブッシュクラフトなら対応可能です。
薪割や太いロープを切ると破損の恐れがあるので注意。
マルチツールナイフ
マルチツールは万能ナイフとも言われます。1つのナイフに
- 大きさの異なるナイフ
- 栓抜き
- 缶切り
- ドライバー
- ノコギリ
- はさみ
- ペンチ
などさまざま機能ツールが収納されており、必要な時に取り出して使用できるのが最大の特徴。
いろいろなメーカーから多種多様なマルチツールが販売されていますが、機能が多くなればなるほど価格は高くなります。
キャンプ時だけでなく日常生活や災害時にも1つあると大変便利です。
アウトドアナイフのブレードの素材について
基本的なアウトドアナイフの形状は上記で触れた3種類ですが、ブレード(刃)に使用される素材によっても切れ味や使い勝手が少々異なります。
アウトドアナイフのブレードには主にステンレスとカーボンが使用されます。
ステンレス
ステンレスはサビにくく適度なしなりを持ち、耐久力がありメンテナンスをさほど必要としないメリットがあります。料理に使用するならステンレスがもっともおすすめです。
ステンレスとひとことで言っても、配合される金属の割合によって少しずつ性質が異なるため実際に手に持ってみて、使い心地細かな違いを実感して購入されるといいでしょう。
カーボン
カーボンはステンレスよりも更に耐久性が高く、切れ味の鋭さが特徴です。薪割やブッシュクラフトに最適。
ただ、サビやすく水や食材がついたままで放置すると、すぐにサビてしまうのでお手入れはこまめにしましょう。しっかりとメンテナンスをすれば長期間に渡って愛用できるナイフです。
その他
ステンレスやカーボンを使用したものが多いですが、他にも青紙鋼やH-1鋼、モリブデン鋼などの素材がナイフに使用されています。
アウトドアナイフの選び方
ナイフの種類は3つだけですが、仕様やデザインや素材がことなるため、それぞれ使い心地が大きく異なります。
そこで、初心者の方が悩みがちなのが「どんなナイフを選ぶべきか」です。
ここでは、自分に合ったアウトドアナイフの選び方のポイントをご紹介します。

初心者が最初に選ぶべきアウトドアナイフは?
アウトドアナイフは、はじめからあれこれと揃えることはせず、まずは使いやすいものを1本だけ購入することをおすすめします。
はじめは複数本持っていても使い分けに困りますし、結局は使いやすいナイフばかりを使用して、全く使わないナイフがでてきてしまうことも考えられるからです。
素材はお手入れの必要がないステンレスがもっともおすすめです。
構造に関してですが、特に使用用途が決まっていない方は手ごろなフォールディングナイフやマルチツールから気に入ったデザインのものを選ぶと使いやすいかと思います。
ブッシュクラフトや薪割り(バトリング)に挑戦する目的でナイフを検討されている方は、タフに使えるシースナイフがいいでしょう。
ナイフに慣れて来たら安全にキャンプを楽しむという意味でも、用途毎に決めるのがオススメ。
慣れてくれば、使用用途でナイフを選んでみよう
荷物を軽量化したいのであれば、フォールディングナイフやマルチツールの1本持ちでオールマイティに使用するという方法もありますが、用途でナイフを使い分けるというキャンプの楽しみ方もあります。
ナイフの使い分けは作業効率が上がるメリットがありますが、ナイフの使い心地の違いや、ナイフ自体を鑑賞するという「楽しさ」もあるのです。
ナイフをコレクションして、お手入れまでも楽しむという「ツウ」な方もいらっしゃるくらいです。
まずは1本ナイフを購入してみて、慣れてくれば使用用途に適したものを検討しましょう。同じナイフのメーカー同士でもサイズ違いのものあるので、大きさによって使い分けるのも楽しいですよ。

アウトドアナイフを選ぶ際に知っておきたいこと
最後に、アウトドアナイフを選ぶ際に知っておくと便利なことをご紹介します。
アウトドアナイフと銃刀法違反
キャンプナイフを所持するにあたってぜひ知っておいてほしい知識に「銃刀法」があります。日本では、目的無く刃渡り6㎝以上の刃物の所持が禁止されています。
え、じゃあアウトドアナイフはアウトなんじゃないの…?
と心配になられた方は、ご安心ください。
「目的が無く所持することが禁止されている」ため「キャンプに持っていくという目的」があれば6㎝を越えるナイフを所持していても問題ありません。
ただし所持する際にはきちんとバッグに仕舞うようにしてください。刃物をそのまま持ち歩いている人がいれば、たとえ故意が無かったとしても周囲の人を怖がらせてしまう恐れがあります。
また、キャンプから帰ったらナイフは家の安全な場所に保管するようにしてください。そのまま車やバッグに入れたままにしておくと銃刀法違反にひっかかってしまう可能性があります。

アウトドアナイフのおすすめメーカーは?
アウトドアナイフを販売しているメーカーはたくさんあります。中でもアウトドアナイフの評判がいいおすすめのメーカーをいくつかご紹介しますので、検討時の参考にしてみてください。
- シースナイフのおすすめメーカー
- モーラナイフ(スウェーデン王室御用達)
- コロンビアナイフ(高品質で低価格が魅力)
- フォールディングナイフのおすすめメーカー
- オピネル(フランスの老舗ブランド/世界中で人気)
- Nikatto(タフに使える折り畳み)
- バック(耐久性が魅力)
- マルチツールのおすすめメーカー
- ビクトリノックス(スイスの老舗ブランド/デザイン性高し)
- レザーマン(アメリカ発祥の人気ツール)
ずっと使えるお気に入りナイフを見つけよう
キャンプで使用するアウトドアナイフの種類や特徴、選び方のポイントの紹介でした。
初心者の方の中で、特にこだわりがないという方は、まず手始めにフォールディングナイフやマルチツールを1本検討されるところからはじめられてはいかがでしょうか。
素材としてはステンレス、握ったときにしっくりときてポケットやカバンに入ってサッと取り出しやすいものを選ばれると活躍する機会も多くなるでしょう。
ナイフはお手入れ次第でずっと使い続けられるものなので、お気に入りのものを見つけて、いい味を出せると、キャンプの楽しみの幅がまたひとつ広がりますよ!

