例年キャンプ人気が高まりをみせていますが、キャンプ人口が増えるとともにどうしても比例してしまうのが、キャンプ場のゴミ問題。
整備されたキャンプ場ではマニュアルが細かく設定されており、ゴミ捨て場やトイレを設け、管理者を配置されていることが多いため、よほどの場合が無い限りキャンプ場が汚れたり荒れることはないのですが、野営地キャンプに深刻な問題があるのです。
今回はキャンプ場のゴミ問題についてお話しします。
野営地での深刻なゴミ問題…。
野営地では特にゴミ問題が深刻
野営地でのキャンプは、より自然に近い形でキャンプを楽しむことを目的としている方が多く、山林を元の状態に近い形で利用するため、ゴミ捨て場が大々的に設置されていないです。
そのため、キャンパー自身が出したゴミを適切に処理されず、山や河に本来あるはずのないゴミが置き去りにされ、野営地キャンプ場が汚されるという問題が深刻化しています。
焚き火後の処理も問題
「ゴミ問題」というと、ビニール袋や使用済みのお箸や紙皿等の投棄を真っ先に想像しますが、野営地では他にも深刻な問題があります。
ひとつは、焚き火後の炭の処理問題。
近年では多くのキャンプサイトでは直火の焚き火が禁止になっていますが、野営地では細かいルールがないため直火での焚き火をしたい方は野営地へと足を運ばれます。
そこまではいいのですが、一部のキャンパーによる「焚き火後の炭の不始末」により景観が乱れ、自然が破壊されているのです。
炭は自然に還るという間違った認識から、焚き火後の炭をそのままにして帰るキャンパーがいるようですが、燃え終わった炭は自然には還りません。
もう少し説明すると、炭は炭素という物質ですが、炭素は単体なのでそれ以上分解されることがないのです。
炭素そのものは自然にも存在する物質ですが、同じ場所に大量に炭素があることは植物にとっていい環境とは言えません。
トイレの不適切な処理も問題
さらに、野営地ではトイレを設置していないところや、離れた場所にしかトイレが無い場合もあります。
その場合、やむを得ず自然環境で排泄することになるのですが、不適切な始末をしている方が少なくないのです…。
- トイレの紙をそのまま捨てる
- 排泄物を埋めずにそのままにする
紙や排泄物も自然に還るから大丈夫、むしろ排泄物は肥料代わりになるからいいでしょう、と考えている方も多いようですが、少し違います。
ティッシュやトイレットペーパーはゆくゆくは微生物に分解され、自然に還るものですが、数日や数週間で還るわけではありません。大量の紙が捨てられた場合は分解が追いつかなくなってしまいます。
また、排泄や排尿もそのままでは植物には刺激が強すぎて逆に枯らしてしまう可能性もあります。
昔は排泄物を肥料として使用していましたが、そのまま使用することはせずに肥溜めに少し置いて、ある程度分解を促してから作物に使用していました。
もちろん、不法投棄も跡を絶たない
小さなゴミだけでなく、キャンプ用品の不法投棄も時々見かけられます。
野営地や林間サイトは人が少なくひと目につきにくいため、帰宅時にこっそりと不要な物を捨てていくという人も残念ながらいるようです…。
もちろんこれは明らかな犯罪行為で、法律により罰せられる可能性が非常に高いです。法律違反かそうでないかにもかかわらず、他人の敷地にゴミを捨てていくという行為が許されていいはずがありません。
山林への無断侵入も
山林の58%は私有林という個人・企業が所有している土地になります。
キャンプに良さそうな場所だからといって無断侵入は法律に罰せられる可能性がとても高いです。
キャンプを計画している方は事前に土地の所有者へ確認と了承を得てからキャンプをしましょう。
このままでは野営地・キャンプ場が縮小する…。どうすべきなのか。
現在、キャンプは人気レジャーになりつつあります。新たに開設されるキャンプ場も多い中、ゴミ処理や焚き火等のキャンプマナーの悪さが目立つために運営を縮小&閉鎖されているキャンプ場も少なくありません。
そんな時、わたしたちはどうすればいいのでしょう。一体何が出来るのでしょう。今一度自分達でできることを考えてみました。
ゴミは持ち帰りが基本
野営地では、ゴミ箱はもちろんのこと、ゴミ捨て場さえも設置されていない場合が多いです。むしろ、野営地キャンプをするのであれば、ゴミ捨て場は無いものは当たり前と考えましょう。
また、トイレの有無や始末に関しては忘れがちなので要注意です。
どうしても持ち帰るのが嫌だという方は、野営地以外のキャンプ場を選ぶか、野営地キャンプ場にゴミ捨て場があるのかどうか確認してから向かいましょう。
トイレは携帯用トイレを使用したり、埋める、水で薄める等の工夫があります。野営地やキャンプ場を運営・所有者にトイレの場所・処理方法を聞いてから向かうと安心です。
ゴミの処理が面倒にならないような工夫を
ゴミは処理するのが面倒なもの。家での分別をめんどくさく感じるのであれば、キャンプ地ではもっと大変な思いをするかもしれません。
同じ袋に何でもかんでも捨ててしまうと、後で分別が大変ですし、袋の破れや液漏れによってギアや車中が汚れてしまうことも…。
出来るだけゴミを出さない、始末に困らない方法で調理する等の工夫を考えましょう。(工夫についての詳細は後ほどご説明しますね)
悪いマナーの人には怒りしか湧かないが、一旦冷静になってみる
ほとんどのキャンパーさんはマナーを守っておられるのに、一部マナーの悪い人のせいで、純粋にキャンプを楽しめる場所を奪われることや、美しい自然が身勝手に汚されていくことに強い憤りを感じられている方も多いことでしょう…。
私もTwitter等で焚き火跡で散らかされたままの地面や不法投棄、散乱したゴミの写真を見る度、怒り心頭で犯人を吊るしあげたくなる気持ちになりますが、ここで怒りの気持ちを相手にぶつけたとしても、みんなで当事者を責め立てたとしても、問題は解決するわけではないなぁ…とふと我に還る瞬間があります。
自分が望んでいることは、皆がマナーを守ってキャンプを楽しみ、美しい景観や自然が今後もずっと保たれていくことです。
きっと怒りをぶつけたとしても当事者達は改心しないでしょう。一旦頭を冷やしてみて、野営地のゴミ問題が少しでも改善される方法を考えてみました。
マナーを守る輪を広げていくしかない
野営地のゴミ問題に少しでも近づける方法を自分なりに考えてみたのですが
- 野営地キャンプでの適切なゴミ処理やコツを発信する
- まずは自分が徹底してキャンプ地を綺麗にして帰る
- マナーを守らない=恥ずかしいことだという認識を広げる
- マナーを守った上でのキャンプの方がずっと楽しいことを伝える
他にももっとたくさんのアイデアがあると思います。
ただ、思うことは、どうしても「○○ができていない!」「こんな△△は最低だ!」みたいな発信ばかりが目立ってしまう傾向にあると思うのです。もちろん、現状を皆さんに伝えることは必要ですし、実際に現状を目の当たりにしたら発信せずにはいられないと思います。
ですが同じくらいに、ゴミ問題に関するポジティブな発信が増えて、その輪が広がってほしいなとも思っています。
野営地やキャンプ場にゴミを捨てる理由は、持って帰るのがめんどくさい、楽をしたいからだと思います。では、マナーを守ってキャンプをする楽しさ・気持ちよさが、「楽をしたい」より上回るようにするのはどうでしょう…。
あくまでも自分なりの考えです、人それぞれにいろんな考えがあると思いますが、ゴミ処理自体を楽しんだり、ゴミを出さない工夫を試行錯誤していったりするのもキャンプの楽しさのひとつだとわたしは思っています!
わたしが野営地でキャンプをする際に行っているゴミ処理の工夫
今回は一例として、実際にわたしが日頃、キャンプをする際に行っているゴミ処理の工夫をご紹介します。
キャンプ前にできるゴミ処理準備
キャンプをする際にはゴミ捨て場の有無に関わらず、自分で出したゴミは全て持ち帰るようにしています。
そのため、できるだけキャンプ場ではゴミを出さないように、キャンプに行く前にはいくつかの準備をしていきます。
・道中で買い物はなるべくぜず、家で事前に揃えて行く
⇒買い物をするとパッケージなどの包装がゴミになるので、道中での買い物は極力控えます
・料理の下処理も事前に済ませておく
⇒下ごしらえは洗い物や食べ物の端くれが出てしまうので、「焼くだけ」「煮るだけ」「温めるだけ」の状態にしておきます。野菜やお肉はジップロックやタッパーに入れて、持って帰って洗うようにします。
・使い捨てカラトリーは極力使わない
⇒使い捨てのカラトリーのゴミはかなりかさばりますし、お箸はゴミ袋に穴をあけることも。お気に入りのカラトリーを購入できてからは、ゴミが随分減りました。
・布おしぼり、ふきんを持っていく
ちょっとタレがこぼれた、手を拭きたい時、キャンプでは何かと「拭きたい!」と思う機会が多いもの。自宅の要領でティッシュを使用しているととんでもないゴミの量になります。そのため、なるべく布ふきんを持っていって洗い替えて使用するようにしています。
キャンプ地でゴミを減らせる工夫
また、キャンプ場で行っているゴミ処理の工夫と、焚き火の後始末の工夫しては
・ゴミの分別のためのゴミ箱をあらかじめ設置
⇒資源ゴミにはお気に入りのメーカーのダストボックス、缶やプラスチック用は100均で購入した折り畳み式の袋掛けを使用しています。
・調理の下処理に使用したタッパーやジップロックを再利用
野菜用のタッパーやジップロックは軽く流すだけで、食べ残しを持って帰れる&一時的に食べ物を保管するコンテナ代わりに。お肉用は使用しないでくださいね。
・電解水を使用して洗い物をラクに
⇒カラトリーの洗い物に関してですが、野営地の場合だと洗い場がない場合もあるため、基本的に家で洗うようにしています。使用後はペーパー等で拭き取りますが、脂が多い場合には電解水を使用して汚れを分解いしてから拭くと1枚のティッシュでとてもきれいに拭けまよ。
焚き火の後始末の工夫
焚き火後の始末に関しては、しっかりと紹介してから炭を処理することはもちろんですが、火消し壺に入れて持ち帰る方法もおすすめです。
火消し壺に入れた炭は「消し炭」になり、消し炭は火付きがいいので次回のキャンプでも使用できますよ。
現在はカッコいい火消し壺やバッグがたくさん販売されています。お気に入りのギアを用いることで焚き火処理が楽しくなるかもしれません。
100均グッズにも便利なものがあるそうです。
野営地のゴミ問題には根気ある発信と呼びかけが必要
野営地のゴミ問題はなかなか解決しないと思います…。月並みな言葉かもしれませんが、やはりひとりひとりが根気よくキャンプにおけるゴミ問題を発信していき、マナーを守る大切さや気持ちよさを呼びかけていくしかないのだと思います。
ネガティブな発信よりも、ポジティブな発信が増えていくことを夢見て、自然好きなわたしもキャンパーのひとりとして、このような形でゴミ問題についても発信してきたいと思います。
今回ご紹介し工夫はどれも簡単なことばかりなので、ぜひひとつでも取り入れていただければうれしいです。